岡山カルチャーゾーンの魅力再発見!
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こどもの頃から縁の深い城下界隈で
仕事、暮らし、楽しみ、仲間を見つけ
現在は、司法書士の資格取得と
その先にある理想の自分の姿をめざし
学びの日々を送っている岩田由佳さん。
自分が楽しいと感じたことを素直に行動できる
というのは
簡単そうに見えて、案外難しい。
そして、ただ楽しいだけじゃなく
そこにかかわる人や社会について真摯に向き合いながら
現在、毎月10日に開催している「triccco」の活動を中心に
この先につなげていきたい思いについて
こどもの頃の遊び場であった石山公園でお話を伺いました。
_________________________________________________________
__
岩田さん、ご出身はどちらですか?
岩田
生まれは一宮です。
そのあと、今の職場でもある母の実家の天神町に移って来ました。
だから、天神町で生まれたと言ってもいいくらい。
東京にいる時に結婚して、岡山に戻って来てしばらくは西大寺の方にいて、
2年前にこの辺りに家を建てて移り住みました。
__
じゃあ、ずっとこの界隈で育って、また戻って来て。
岩田
そうなんですよ。
最近、近くの中央公民館が閉館して…。
このあとどうなるんだろうって、すごく気になっていて。
去年の6月頃から壊されるって聞いてたんですけど、まだ全然。
人は出入りされてるようなんですが、公民館としては使ってないみたいなんです。
__
市の事務所として使われてるようですね。
岩田
三光荘も、今、どう使われてるのか、謎なんですよね(笑)。
__
確かに(笑)。
岡山県の分庁舎になってるみたい。
私、割と三光荘好きで、
昔はちょいちょい利用してたんですよね。
一回500円くらいでプールが使えたりとか、ビアガーデンも良かった。
岩田
ビアガーデン、ありましたね(笑)。
去年の豪雨の時、うちの辺りも危なかったんですよ。
小学校に避難しに行ったんだけど、小学校の位置が、一番低いらしく。
避難して来た人も2人くらいしかいなくて。
あ、こりゃダメだ、と思って家に戻ったんですよ。
だからその時、
三光荘とかって、使えないのかなって。
せっかくあんな高い建物があるんだったら
緊急時には開放してくれても良いのになって。
__
そっかぁ。
本当ですね。
施設の特徴を生かして、
緊急時とかには地域にとっての有効な使い方ができるといいのにね。
そういえば、弓道具のお店の「鷲見」って、まだある?
岩田
あ、あるあるある(笑)。
中納言になるのかな。
__
「鷲見」の横に、川があるでしょ。
草が鬱蒼と茂ってるところ。
あそこが案外、桜が綺麗だったりしますよね。
岩田
そうなんですよね。
御成川。
あと、蛍も見られるし。
結構、飛んでるんですよ。
6月の初めくらいに行くといっぱいいる(笑)。
__
そうなんだ。
あそこって、時が止まってる感じがしますよね。
岩田
鬱蒼としてて、めっちゃ暗いから。
それで蛍も良く見えるのかな。
蚊もめっちゃくるし(笑)。
__
たしかに、虫いっぱいいそう(笑)。
なんかあそこ、謎なんだけど、
意外といいスポットなんじゃないかと思っていて。
岩田
あそこは、小川みたいにはなってるんだけど、
ほったらかしで、川が掃除されてなくて、
川底にガラスの破片とかがあるから危なくて。
鬱蒼としてて、事故があっても怖いから。
__
だから、悪循環で、さらに鬱蒼としていっちゃうんだ。
岩田
ちょっと、1人では遊びに行かないで、
みたいな感じになっちゃってる。
__
それは残念。
せっかく近くにある穴場スポットが、
こどもにも安全で、もっと心地良い場所になるといいのにね。
__
岩田さんのやっている「triccco(トリコ)」のことを教えてもらえますか。
岩田
triccco は、
こども用品を何でも、1点対1点で交換できる仕組みです。
__
こども用品に関して、年齢制限はありますか?
岩田
年齢制限はなくて、
洋服なら150cm くらいまでものかな。
__
じゃあ、中学生くらいまでのものになるのかな?
岩田
中学生とかになると、
親が勝手に交換とかに出せなくなるから…。
__
自意識の芽生える前くらいまでだ。
岩田
だけど、お兄ちゃんやお姉ちゃんが、
弟や妹の服にするために、って持ってきてくれることとかももちろんあるけど、
そのサイズくらいまでの年代で、
親が自由にできる服、って感じですね。
__
一回の開催で、何着くらい準備するんですか?
岩田
300〜400くらいかな。
小物も含めると、500とか600くらい。
__
物量がすごい。
管理が大変ですね。
岩田
それが一番大変です。
__
この前行こうと思ってたんだけど、
勝手に日曜日にやっていると思い込んでて、行けなくて。
岩田
毎月10日にやっています。
月によって曜日が違うのでややこしいですが。
__
毎月、10日なんですね。
何人くらいで運営されてるんですか?
岩田
流動的なところもあるんですけど、
役員みたいなかたちで関わってくれている人が何人かいて、
それ以外に、お手伝いのような感じで何人か。
合わせると、運営に関わってくれているのは10人くらいかな。
__
その時々のタイミングで動けるメンバーが、みたいな感じなんですね。
岩田
そうです。
立ち上げメンバーは、それぞれみんな、自分のやりたいことがあって、
今は私しか残っていなくて。
__
立ち上げたのはいつ頃ですか?
岩田
2011年です。
__
どうして「物々交換」だったんですか?
岩田
別に、物々交換じゃなくても良かったんですよ。
お母さん同士がノリで、一緒に何かできれば。
石鹸づくり、みたいなことを言ってる人もいたし、
ゆくゆくは、保育所みたいなこともしたいとか、色々言ってたんですけど。
「物々交換」っていう話が出た時に、「面白そうだな」って思って。
じゃあ、ひとまずやるか、みたいな感じ。
話の流れで移動図書もやることになって。
最初からどうしても「やりたい!」
という感じではなかったんです(笑)。
ただ、私は、物々交換が結構楽しかった。
__
あ、ハマったんだ(笑)。
岩田
そう、ハマった(笑)。
ハマってしまった。
__
岩田さんがハマったポイントって、どんなところ?
岩田
一言では言いにくいけど、
とにかく、普通に得だし、
色んなこどもの服とかを見るのも楽しいし、
来てくれた人と仲良くなれるし、
この活動をしていることで会える人もいるし、
自分のやり甲斐みたいなところだけど、
ある程度、社会的な意義みたいなところもあるかな、
と思っていて。
__
そうですよね。
物々交換って「リデュース・リユース・リサイクル」の考え方に沿ってて、
今の時代にとっても合ってる。
岩田
そうですね。
環境に対する取り組み以外にも、
母親の孤立を防ぐというか、
家にいて、こどもとしか話してないなぁ、
みたいな人とかが、
ちょっと来て、話して帰れるような場所になったらいいなって。
つながりづくりみたいなところで来たいな、って言ってくれる人も多くて。
__
そういう場としても、活用してもらえますね。
岩田
やっぱり、こども服って高いし。
__
しかも、すぐにサイズが変わりますもんね。
triccco を利用するために、費用は必要ですか?
岩田
会費をいただいています。
最初の1回目はお試しで、無料で交換してみて、
この仕組み使えそうだな、と思ったら、
2回目に会員になるかどうか考えて下さい、っていう仕組みにしていて。
__
すごく良心的。
岩田
品物の入れ替わりがあるので、
その時の運みたいなもので、好みのものがなかったとしたら、
なにも交換せずに帰ることになってしまう人もいるんですよ。
その時に、「あ、会費ください・・・」って言えない。
__
たしかに。
言い出しづらいかも。
岩田
だから「2回目の時に、もし良かったら会員になってくださいね」って言って、
会費をもらって、そのあとは、ずっと無料。
__
参加される方はみなさん、フレンドリーな感じですか?
岩田
そうですね。
__
じゃあ、そういう場を求めてる人が来られてるんですね。
岡山ロッツの無印良品でされることが多いようですけど、
無印でやることになったきっかけは?
岩田
岡山NPO センターの方に紹介していただいたのがきっかけで。
最初は、移動図書の読み聞かせで声をかけていただいたんです。
ただ、図書館も近くにあるし、
そんなに本の数も多くないところに、こどもをわざわざ連れて行かないので
読み聞かせだと、お客さんは集められないですよ、って言って。
それだったら、物々交換の方で関わらせてもらえたら、っていうお話をしました。
__
開催場所は、お声をかけていただいた場所で、って感じですか?
岩田
それもあるし、こちらからお願いすることもあります。
__
選択基準って何かありますか?
岩田
やっぱり、何らかの知り合いがいるような所じゃないと、なかなかお願いしにくいですね。
「物々交換って何?」っていうところから説明するのが、結構大変なので。
人を介して、その場所に何らかのつながりがあるような場所じゃないと、
なかなか行きづらい。
__
場所や人との関係性も大事ですもんね。
同じ場所でやることで、認知度も上がるし。
今後は、関係性をつくっていく中で、
新しい場所での開催の可能性もありそうですね。
最近は、移動図書はあんまりやってないんですか?
岩田
私が受験生なので、あんまり余裕がなくて。
移動図書は、半ば趣味みたいな感じでやっていて、
お金をいただくっていうのはできないから、
知り合いがイベントをするから、
こどもがゆったり遊んだりできるスペースが欲しい、
とかって言われた時にだけ行く、みたいな感じ。
お子さんを預かるとなると責任もあるから。
__
資格が必要とかね。
何か事故があった時のこととか考えたら、気軽にはやりづらいですよね。
じゃあ、移動図書の方は、
タイミングとか状況や条件が合えば、って感じで。
岩田
ただ、とにかく受験生なので、今は色々あまりできなくて。
__
やりたい思いはあるけど、みたいな。
ちなみに、受験は…。
岩田
司法書士。
毎年、7月に試験です。
家が、司法書士事務所なので。
__
司法書士って、難しいんじゃないですか?
岩田
多分、難しいと思う(笑)。
最初は、そこまで難しくないだろう、とか思ってて(笑)。
最初の授業の時に先生が、
「血を吐くほどやってください」
って言った時に、大爆笑しちゃったんですよ。
そんなことあるかよ、くらいに思ってたんですけど。
でも、マジだった(笑)。
大変ですよ。
__
勉強って、毎日やってるんですか?
岩田
バラツキはあるんですけど、
土日に、夫と息子がどこかに遊びに行く時は学校に行って、
長い時だと、8時間くらいできる時とかもあるけど、
平日はさすがに4時間くらいかな。
__
おうちのことしたり、お仕事もやりながらでしょ。
いやぁ、すごい。
受験生、どんな気分ですか(笑)。
ずっと頭の中に、受験のことがある感じですか?
岩田
そんな感じじゃないから、なかなか(笑)。
triccco のこと考えたりとか、色々するから、気がまぎれるんですけど。
完璧に忘れるんですよ。
ニワトリみたいに、7歩歩いたら忘れる(笑)。
蓄積しないといけないのに、ほとんど忘れちゃうから、大変。
本当は、色々やりたいんですけど。
__
昔から、興味があることを色々やってみる感じだったんですか?
岩田
学生の時は、
頭の中で、こんなことしたら楽しいだろうな、って思うけど、
考えるだけで何もできない感じ。
妄想してるだけで。
多分、精神年齢が幼いと思うんですけど(笑)。
社会人になってから、本当に軽いことから。
フットサルチーム作ったりとか。
__
結構、大っきいよ(笑)。
岩田
大っきいですか(笑)。
Tシャツ作ったりして、試合に出たり。
それで、中学生のチームにボロボロに負けたりして(笑)。
__
楽しそう。
ジャンルレスなところが面白い。
岩田
行き当たりばったりなんですよ(笑)。
サッカーは好きなので。
__
好きなことじゃないと、できないですもんね。
岩田
本当は、儲かることをやりたいんだけど、
tricccoも最初は、儲かるかも、って思ってたんですよ。
でも、そんなこと全然なくて、
結局、儲からないことしかやってない。
__
やりたいことを仕事にしてる人も、もちろん沢山いるけど。
それには、何が必要なんでしょうね。
仕組み、アイデア、何だろう。
岩田
やりたいと思った仕事に就いても、
「違う」って思うこと、多くないですか?
イメージと違うとか、大人の事情とか。
そういうのは、好きなことをやってても出てくるから。
それだったら、
お金がかからないところでやりたいことをやった方がいいなと思って。
でも、それは言い訳なんでしょうね。
だから、それをビジネスにできるってことは、すごいですよね。
そういうところで頭を悩ませることがすごく多いので…。
__
でも、ということは、
ずっと続けていこうと思っているからこそで。
岩田
会員制として始めたからには、
突然やめるというわけにはいかないじゃないですか。
会費ももらっているし。
だから、続けていくことを前提に置かないと。
他の県でtriccco をやっている人は、
先が分からないから、会員制になかなかできないって。
儲かるわけじゃないから、ずっと続けていけるか分からないのに。
__
それだけで生活していけるわけじゃないところに、
どれだけエネルギーを…。
岩田
なので、会員制にするとやめられなくなりますよ、と最初に言っていて。
だけど、会員制の方が、交換のクオリティは上がります、とは伝えて。
__
お金が発生することは、大事なことでもある気がします。
ちょっとのお金だとしても、
払っているっていうことで、参加する人にも目的意識というか。
岩田
ただ、物々交換は、
お金を介さないところが面白さだな、とも思っているんですよ。
__
そこのバランスが難しいですね。
今、受験生で、triccco をやってて、主婦もして、
おうちのお仕事も手伝ってて、って、
結構忙しいと思うんですけど、
新しく何かやりたいことが湧いてきたりするんですか?
岩田
あ、あります…。
あるけど、
資格を取ったら、そっちでもやりたいこと、やらなきゃいけないことも出てくるだろうから、
あんまり考えないようにしてる(笑)。
__
先のことは(笑)。
初めは、自分たちがやりたいってところからスタートして、
今は、誰かの、何かの役に立ってたりすると思うから。
無印とかの商業的な場所でされたりしてるのも、
先方のニーズに応えているわけだし。
地域の暮らしへのアプローチとして面白いですよね。
会場によって、参加者の違いを感じたりしますか?
岩田
基本的には変わらないけど、
イベントによっては、お客さんが能動的だな、って思うものもあって。
石山公園での「後楽の森と川パークマーケット」の時は、
お客さんが、イベントに参加していることに価値を見出している感じがして、
その場の雰囲気に沿って楽しみたい、っていう行動の結果、
能動的に、自分がここにいることを楽しんでいて、
「関わってる」っていう感じがすごく伝わってきた。
__
パークマーケットに参加してくださる方々が、
「場を楽しむ」「参加する」ということに価値を見出していただけてたなら、
主催者の我々としてもすごくありがたいことですね。
石山公園のロケーションの良さやポテンシャルの高さも、
相乗効果としてあるんでしょうね。
岩田
物々交換は、
参加してくれる方の意識というか、善意に任せて、
いいものが上手く循環するように、参加者に呼びかけていくしかないので。
次の人が使うときに、
気持ちよく使えるっていうことを心がけてください、って感じで。
そしたら、ほとんどの方が、
綺麗に洗濯して持ってきてくださるようになってるし。
入ってくるもののクオリティも、全体的に高くなってきてる。
もらうこともそうだけど、
次の人に、あげるために持ってきてるんだ、っていうことを、
お客さんが意識してくれるようになってきてる。
それで、triccco を上手く使えるようになってくると、
沢山持ってくるんじゃなくて、
5点とか10点ずつとかを交換して帰る、みたいな。
そういう風に、
使う人が気持ちよく使えるようにって考えてくれる人が、
やっぱり長く利用してくれていて。
すごくいいものやこだわりのあるものは買うとして、
多分、少しはお得に物々交換を使ってもらえてると思う。
__
丁寧に提供してくださる方が増えると、ラインナップも変わって、
triccco に参加した人が、
「ここはなんか、いいものが揃ってるぞ」ってなるでしょ。
自分が持っていくときも、いいものを持って行こう、って、
だんだんとなっていって、
回を重ねるごとに、「triccco は、いいものがあるよ」って、
お客さん伝いに、評判も広まっていきそうですね。
岩田
ただ、そこも2、3年前に、すごく悩んだことがあって。
クオリティが上ることで、参加しにくい人もいて。
__
気軽に持っていけない、みたいなこと?
岩田
うちのものを持っていっていいのかな、って不安な気持ちを伝えてくださる方もいます。
けど、そういう方の多くは、最初から参加されないんじゃないかな。
だから、
誰でもどんな物でも気軽に、
みたいな方向にいくのか、
クオリティを上げていって、少数の方でいいので大切なものを丁寧に交換していく、
みたいなカタチにするのか。
すっごい悩んで。
__
それは悩みどころですね。
今、そこに結論は出たんですか?
岩田
後者の方の活動になっていってると思います。
望んでそうなった、っていうよりは、
そういう方向になっていった、って感じで。
__
存続させる、っていう問題もあるじゃないですか。
存続してないと、サービスや仕組みを提供できないから。
提供しようと思うと、やっぱり、求められるものを、ってなる。
全ての方の要望に応えることは難しいだろうし、
今の流れがtricccoに求められていると思うから、
運営としてはそこを判断しないといけないですもんね。
どっちに舵を切ったとしても、
triccco のスタイルがちょっとずつ変わっていくことで、
やる場所とか、求められるものとかが変わってくるんでしょうね。
そうすると、出逢う人も変わってくるだろうし、
違う広がりとかもありそうですね。
旧内山下小学校の社会実験に関わってくださった時もそうだし、
今日、こうやってお話を伺ってて、
「岩田さん、今度何やるんだろう」って、すごく楽しみです(笑)。
岩田
考えないようにしてる(笑)。
__
やりたくなっちゃうから(笑)。
岩田
妄想すると、そっちの世界に飛んでいっちゃって、
何も聞こえなくなる時があるんですよ。
勉強とかしてても、途中で止まってるんですよ。
そしたら、時間が過ぎてるから、
あれ、1時間くらいやってるけど、
本当は30分くらいしかやってないかも、って(笑)。
__
おうちと仕事場の間に、岡山城や石山公園とかがありますけど、
気分転換にお散歩したりとかって、あります?
岩田
昔は、犬の散歩したりしてたけど、最近はあんまり…。
お城の、月見橋につながるところの道とかを自転車で通れたりしたら、
岡山城から石山公園を通って来れるから近道にもなるし、
ロケーションもいいから最高なんですけどね。
__
そうですよね。
浜の方から旧内山下小学校に自転車で行く時とか、
蓬莱橋から鶴見橋を渡って、旭川や後楽園を横目に、
石山公園の緑を抜けて旧内山下小学校へ、
ってルートがもう最高だな、と思っていて。
すごく岡山を感じるというか。
だけどある時、突然、
「自転車に乗って通ってはいけません」
っていう看板が石山公園に立ったんですよ。
歩行者の方に配慮してとか、
元々そういう場所なのかもしれないんだけど、
自転車のことも含めて、
石山公園には禁止看板が色々無造作に立ってて。
そういうのって、今、ルールがあるようでないような、
分かりにくい状況になってるから、
「よりよく活用する」っていう仕組みのパークマネジメントで、
石山公園を改善できたらいいな、って思っていて。
この界隈の美術館とか博物館とかには行ったりします?
岩田
博物館学芸員の資格を持っているし、
元々好きなんですよ、美術。
だから、観に行くのは好きで。
だけど、こどもができてから、少し足が遠のいたかな…。
__
じゃあ、タイミングが合えば、みたいな感じ?
岩田
うん。
興味はすごくある。
__
モノをつくるのは?
去年、旧内山下小学校でやった「Sunny Friends Market」で
ミスミノリコさんのダーニングのワークショップに参加してくださったけど、
あれはどうでした?
岩田
楽しかったです。
物々交換に使えそうだな、と思って。
習いに行って、ミスミさんにも、
「物々交換をやってるんですけど、習ったことを使って服を直してもいいですか」
って聞いたら、「あっ、どうぞ」って(笑)。
そうか、もともと昔から受け継がれてきた技術だったんだよな、って。
「頑張ってね」って言ってもらいに行ったみたいで、私バカだな、と思って(笑)。
__
ちゃんと伝えたくなる気持ちは分かる(笑)。
物々交換の服は、リメイクとかもしたりするんですか?
岩田
リメイクも、細々としてるんですけど、
やっぱり、技術が伴わないと、スピードも出ないし。
お裁縫が好きなメンバーがいて、リメイクをしたいって言ってるけど、
なんせ、私が受験生だから(笑)。
今は、直したりする時間もないから。
ただ、メンバーとは、
イベントの時には必ず裁縫道具を持って行くようにしようって。
__
じゃあ、繕いものを発見したら、その場で?
岩田
そう。
その場で直して。
例えば、保育園とか幼稚園にバッグを作って持って行くんだ、ってなったら、
そこのミシン使ってもいいですよ、くらいのことはやりたいんですけど、本当は。
だけど、意外と物々交換が忙しくて。
次々にお客さんが来ると、とても裁縫とかしている暇がなくて。
__
スタッフの数も必要になってくるし。
岩田
そうですね。
そうすると、お金の問題が出てくる、という…。
引き取った物で、ちょっと傷んでるもののボタンとか使えるところとかを外して、
取って置いたりはしてるんですよ。
だけどそれも妄想の域で、止まってるんですよ。
いつかは、やりたい。
結構問題なのが、
針を使うところに、こどもを連れてくるのが難しいから。
なにより、会場が心配する。
最後に、針の数を数えて、とか。
それに、私も心配ですね。
良くリメイクされたものを交換に出すか、
リメイクしたい気持ちはあるけど、
そこにかかる労力が、交換だと、費用対効果があんまり良くないから…。
そこが、どうやったら上手く行くかな、って。
ソーイングカフェみたいなところがあって、
必ずワンドリンク注文して、みたいな…。
__
そういう場があるといいかもしれないですね。
ソーイングカフェとか、需要ありそう。
私も手芸用品のお店とか、たまに行くんですけど、
駐車場にいつも車がいっぱい停まってる。
利用者さん、多いですよね。
だけど、岡山は品揃えの豊富なユザワヤみたいな、
ああいうお店が近くにないでしょ。
道具とかにしても、店頭になかなかなかったり、
そんなに使わないかもしれない高価な道具をわざわざ買うのもなぁ、
って躊躇することもあるし。
そういうのを、ソーイングカフェとかで借りられて、
ちょっと広い机とかも使えたらいいな、とかね。
岩田
私がまだ、受験勉強を始める前には、
triccco の活動として、リメイクのワークショップとかをやってたんですよ。
私が技術がないから、できる人を呼んできて、
こども服をリメイクしたり、違うものに作り直したり。
みんなで教えてもらう、ソーイングカフェみたいなのをやってたんですよ。
「ここ、どうしたらいいの」みたいな時に聞ける人がいて、とか。
ちょっと繕いたいけど、どうやったらいいのかな、とか。
そういうのがわかるようなところがあったら、
そんなに捨てなくてもいい服とかも、きっとあると思うんですよね。
このセーター、気に入ってるけど、直せないから捨てる…、みたいな。
あと、こども服でいうと、思い出があるから、
人にもあげられない、捨てられない。
それだったら、何か違うカタチにして、取っておくとか。
何かそれで、踏ん切りがつくとか。
__
そうか。
バッグとかにするとか。
岩田
ちっちゃいぬいぐるみにするとか。
それ見て、あの頃、いっつも着てたな、
とかみたいな気持ちを思い出せるとか。
そういうことをできたらいいな、って。
__
ソーイングカフェ、いいな。
そういう場が、この地域にあったら、
コミュニティとしても、すごく需要がありそうですよね。
お裁縫の得意なおばあちゃんに教えてもらえるとか。
世田谷ものづくり学校には、木工室とかがあるんですよ。
そういう、地域の人やものづくりをしたい人が、
気軽に使える場所があるといいですよね。
岩田
本来、公民館ってそういうところだと思うんですけど、
継続して使えるような場所があれば。
私がもし、試験に受かったら、
triccco のことで何かやるなら、それですね。
ずっとずっとそれを考えていて。
裁縫できる人が、色々作ってくれるんですけど、
労力かけて、申し訳ないな、って思う。
誰かがやる、とかよりも、
参加した人が自分でやる、みたいな方がいいなって。
__
やりたい人も、潜在的に結構いるんじゃないですかね。
だけど、やり方がわからないとか、
道具がないとか、時間や場所がないとか、
そういう理由でやれてないだけで。
そういう人たちのきっかけになるような場になったらいいですよね。
最近よく言われてるのが、
情報は今沢山あり過ぎるぐらいあるから、
情報自体にはあまり価値がなくて、
それよりも、
得た情報の先にある個人的な体験というか、物語というか、
特別な体験とかが、これからは求められてくる、って。
だから、triccco を知った人が、まず参加して、
そこから新たな興味が湧いて、
例えば自分でリメイクしてみたいとか、
そういう体験を自分がすることで、
triccco を通じた自分だけの体験ができると、
より、関わりたい、みたいな。
そういうことを、今、場として求められてるのかな、って。
岩田
今でも本当に、一緒にやってくれてる人たちに助けられてて、
みんな子育て中のお母さんなんで、
できるだけ、関わりやすい組織体制でありたいなと思っていて。
今はとにかく受験生なので、
お世話になってる方のお手伝いとかも何もできないので、
本当、申し訳ない気持ちで。
__
大丈夫(笑)。
岩田さんには、想像力や妄想力を期待してると思うし、
きっとそれが岩田さんの担当ですよ。
妄想や想像が苦手な人もやっぱりいて、
そういう方はひょっとしたら、
真面目で慎重という特徴を生かしてリスク管理とかが得意な人かもしれないし。
逆に、こうなったら面白いとか、
そういう発想や思いや考えを口にする、っていうのも、
多分、すごい能力のひとつだと、私は思っているので。
岩田さんは、そこがすごい(笑)。
岩田
そ、そうですか。
褒められた(笑)。
なんかすみません。
__
東京にも住まれてたということですけど、
岡山の暮らしと比較してみて、どうですか?
岩田
東京に行ったりすると、
今でもワクワクするような感じはあるし、
東京自体は好きなんだけど、
なんか、夕日とかを見ると、
「あぁ、この夕日は私の夕日ではない」
みたいな気持ちになるようなところが、どっかにあって。
__
根を張ってない感じ?
岩田
そうですね。
例えば、夫の実家の群馬に行って、お祭りとかやってたら、
自分も参加していいんだな、っていうか、
なんか縁があるように感じられるんですけど、
東京だと、親戚とかもいないからか、
縁がないというか、
部外者のような感じがしていて。
__
ルーツ、みたいなことなのかな?
岩田
居ていい、って、受け入れられてる感じ。
__
東京には何年くらい?
岩田
12、3年くらいかな。
__
じゃあ、割と長いですね。
岩田
群馬か岡山か、ってなった時に、
うちの実家が司法書士をやってるから、
そこを手伝うのがいいだろう、っていうことで岡山に戻ってきて。
__
戻ってきて、どうでした?
岩田
夫は最初、苦労してたみたいですけど、
幸いお友達に恵まれて。
「Studio Lights」っていう活動に参加させてもらったり、
本人も司法書士の資格を取ってからは、
グッと縁ができた感じですね。
それまでは、しんどそうでしたけど。
__
岡山での居心地を、どう作るか、みたいな。
自分のやりたいこととか、やり甲斐とか、
友達とか仲間みたいなものとか、
そういうものがある場所が、
自分の居場所みたいになっていくのかもしれないですね。
岩田
そうだと思います。
私も、戻ってくるつもりはなく戻ってきたので、
最初は少し戸惑いもありましたけど、
夫が試験に受かって、生活が安定して。
__
それ、大事ですよね。
それがひとつのターニングポイントというか、
よし、家族で岡山で暮らしていくぞ、
みたいな気持ちの切り替えになった感じですか?
岩田
そうですね。
だから、夫にだけにやってもらうんじゃなくて、
自分も資格を取って、
同じラインで一緒に頑張りたいなと思っていて。
その上で、自分のやりたいことをやりたいな、って。
__
じゃあ、本当にこの受験が岩田さんにとっては、大きいですね。
岩田
そうなんです。
__
そのモヤモヤを吹き飛ばすためにも。
岩田
頑張らなくっちゃ。
岩田 由佳(いわた ゆか)
te.to.te 岡山 (子ども用品ぶつぶつ交換triccco+絵本の移動図書おさんぽ図書) 代表
「tricccoの子ども用品ぶつぶつ交換」
毎月10日無印良品岡山ロッツ店にて開催。
そのほか、岡山市内各所で不定期に開催。
詳しくはブログ、facebookなどをご覧ください。
ブログ ▷「tricccoのブログ」
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問い合わせ先 ▷ triccco.okayama@gmail.com
インタビュー・写真
石井 範子(ENNOVA OKAYAMA)